

「珈琲屋大澤」の雰囲気はほどよく薄暗い。長いポトスの枝葉が、複雑に絡み合って部屋を纏っている。
店長の大澤さんは「『珈琲屋』なのに、コーヒーのオーダーが少ないわ。最近の若い人はみんな素直ね。」とぼやきつつ、紅茶からオレンジジュースまで参加者一人一人へ一杯ずつ丁寧にサーブしてくれます。
定刻が少しすぎたあたりで、会議のはじまり。
参加者は、20代〜50代くらいまで約15名ほどでした。
みなさんにはお茶を飲んでいただきつつ、私は水を手に緊張気味でコワ会議が始まった経緯などを話し出します。
初回のテーマは「私たちの居場所の作り方」。あえて「私たち」としたのは、街の中にあるべき居場所、一人一人に必要な居場所、その二面が重なる面を探していきたかったから。
それから語り手の西加さんが写真を見せながら、子ども食堂「ぐるぐる食堂」を始めた経緯、そして彼の生活の中でそれがどんな位置付けをしているのかなど、ゆっくりと優しく説明してくれました。
また、現実的に運営に必要なお金やスタッフをどうしているかについても補足として話してもらいます。
それに合わせて参加者から「どんな子どもがやって来るのか」などの質問があり、西加さんの思いを交えて深めていく。
西加さんとしては、来て欲しい層に本当に届いているか分かりにくいというジレンマも抱えつつ、どんな家庭や子どもにも大変なことがあるのかもしれないという気持ちを持って運営している、という話が私は印象的でありました。
その後休憩を挟んで、フリートーク。事前にみなさんにお渡ししたフリップへ以下の3つの質問のどれかを選んで書き込んでおいてもらいました。
①あなたの理想の「居場所」とは? ②◯年後、こんな「一週間」を過ごしていたい。 ③いつか、こんな場所に住んでみたい。
一番聞きたいことは①でしたが、難しい質問だとも思い、それにつながるような質問②と③も用意しておきました。
結果的に②と③に回答してくれたのは、それぞれ一人ずつ。ほとんどは①について答えてくれました。
②に回答してくれた人は、一週間の中で「ボランティア活動」が週2回入っていることが特徴的で、③に回答してくれた人は「自然に囲まれた土地で暮らしたい」ということ。
それぞれ現実的なハードルはあるのかもしれないけど、個人単位では実現できるのではないかというような話でありました。
そして、①あなたの理想の「居場所」とは?について。
まず西加さんがフリップに描いた絵には、一軒家のお庭に大きな木が生え、敷地内に小川が流れています。そこに、魚釣りを楽しむ子どもたち。
うん、確かにこれは楽しそうだし居心地も良さそうです。
自然が近くにある、自然の中にいる、ということは人々に共通の居心地の良さを与えるのかもしれない。一方で、時に災害など自然との共生は厳しさを生むことがあることを忘れてはならないでしょう。
それから二人の大学生は、学校生活にはない緩さもありながら、そこで「小さな達成感」が得られることも大切という話がでました。
そして人間関係について。一人の大学生は、気兼ねなく話せる人がそこにいると嬉しいと話していて、私から「そういう人はどうしたら現れますかね、、、」と逆質問。
すると「時間をかけて信頼関係を作ることが大切なのかな。」という声が出ました。
じゃあ、「人との距離感をどうやったら詰められるのか?」という疑問が私の中で生まれたので、接客のベテラン・大澤さんに尋ねてみます。
「うーん」と考えた後、「とにかく(特に一人のお客さんには)話しかけてみる」という非常にシンプルな答え。「じゃあどんな話をするんですか」と聞いてみると「お仕事のこととか・・・」とお客さんには割とプライベートな内容を聞いているということだった。でも分かるというか、不思議と大澤さんになら何でも話してみたいと思えるような気がする。それがすごい。
お店の常連として参加された方は、「(大澤さんとは)年が離れているから話やすい」とも。
「理想の居場所」について、環境面、人間関係が出た後、後半に出たのが、公共施設はどうあるべきか、リアル/オンラインの違い、一人で過ごせるかどうかなど。
行政が管理する公共的な空間では無料ではあるものの、長居できない工夫があえてされているなど「居心地の良さ」はあまり重視されていないよねという話、
そして、オンラインやSNSは「居場所」になり得るのかという話では、現実として既に「居場所」となっている人が多くいるのではという声が上がりました。
そもそも、「居場所は作るものではなく自然に生まれるもの」という、今回のテーマを揺さぶるかなりの正論を投げてくれた参加者もいました。
それから最後に、以前はSNSも居場所として考えていたけど、最近は「一人でゆっくり過ごせる近所の喫茶店」が居場所になっているという参加者の話を聞きます。
「一人すぎても寂しいけど」というところがおそらくポイントで、「一人になれる」けど「つながりも感じられる」。そういう程よい距離感ってどうやったら作れるのかな、一同共感を感じつつも解決案はまた今度、というところで今回はおしまいでした。
私が今回思ったことは、「居場所」を作ってきた西加さんと大澤さんを並べてみた時に、運営するホストがその場に何より愛着を感じ、居心地の良さを追求しているのではないかということです。無意識にかもしれないけれど、そこに参加するお客さんなど関係者は巻き込まれ、なんとなく常連となり、「居場所」ができていく。そんな、ホストの思いやりのようなものが人間関係を編み、さらなる居心地の良さを生んでいくのかなという気がしました。
依然手探りではありますが、これからも語り手(ゲスト)、参加者、会場のホストなど巻き込みながら、「対話」を大切に面白い会議を作っていけたらと思います。
コワ会議発起人・聞き手 高野宏
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